吉富卓爾さん(大阪)
持病の発作が原因で失業、ホームレス状態に。
ビッグイシュー販売、ステップハウスを経て路上生活を脱出
大阪市役所の近く、淀屋橋北詰でビッグイシュー誌を販売する吉富卓爾さん(48歳)。兵庫県内のステップハウスを利用し、路上生活を脱出した経緯と、今後の目標についてお伺いした。
- Q ホームレス状態になった経緯は?
- 高校卒業後、自衛隊に4年ほど在籍しました。その後一般的な職に就こうと上京しましたが、その当時ストレスがかかると、パニック障害による発作がしょっちゅう起こり、なかなか仕事が長続きしませんでした。実家の農業も一度は継ぎましたが、原油高騰のあおりを受け、経営が行き詰まり、田舎にもいづらくなり路上生活となりました。
- Q ビッグイシュー基金のプログラムを利用するようになったきっかけは?
- 路上生活をしていた時に、ビッグイシュー日本のスタッフに声をかけられて、ビッグイシュー誌の販売を始めました。最初は東京で販売し、一度は販売をやめて他の仕事には着きましたが、いろいろとあり大阪へ。再度大阪で雑誌販売を始め、雑誌販売が軌道に乗り始めた2017年頃、その時ちょうど始まった兵庫県内のステップハウスに入ることになりました。
- Q ステップハウスを利用してみての感想はいかがですか?
- やっぱり帰る家があるのはいいね。
今までは、寝る前は水分を取らないように、とかの制約があったけど、トイレもいつでも行けるし、人を待たなくていいから、とても快適です。
ずっと周りに誰かがいた生活から一人暮らしになったので、ちょっと寂しいこともあるけれど、近所の人と話したり、隣駅まで散策したりしています。(兵庫県内のステップハウスの様子)
- Q 利用料は月に1万5000円(うち5千円は家主さんへ、1万円は積立金)やりくりは大丈夫でしたか?
- 締め切り日を過ぎることなく払えていました。もちろん家賃の支払い日を意識することも必要になったけど、路上生活と違って、家がある方が健康的に節約できます。安売りの食材を買って自炊も出来るし、冷凍庫に作り置きを貯蔵しておけるので、食費は安くなりましたし、野菜も食べられるようになりました。
- Q 現在はどちらにお住まいですか?
- 兵庫県内のステップハウスは、利用期間が1年だったので、2018年の3月に、ビッグイシュー基金のスタッフにサポートしてもらいながら、大阪市内のアパートに引っ越しました。元社員寮を改築した物件で、ステップハウスよりは狭くなったけど、きちんと自分で3万円程度の家賃や光熱費を払っています。
- Q ステップハウス以外に、どのようなプログラムを利用していますか?
- 野武士ジャパンの大阪チームの練習に参加したり、ダイバーシティカップなどにも参加しています。東京にいた頃は、ちょうどホームレスワールドカップのミラノ大会の時で、その時も野武士ジャパンのメンバーとして本大会にも参加しました。また、ビッグイシュー基金を通じて紹介されたカウンセラーの資格を持つ人に、心理的なことなどを相談したりもしています。
- Q 最後に今後の目標を教えてください
- 最近は、ビッグイシューの販売者として、テレビや新聞などに登場させてもらうことがあります。また、小学校や高校、大学などで、子供や若者に、自分がホームレスになった経緯やビッグイシューとの出会いについてお話もさせてもらっています。そんな感じで、今までいろんな人にお世話になったんだけど、自分がした経験を若い人たちに話をすることを通じて、何か感じ取ってもらえたら嬉しいなと思っています。
その他にも、サッカーの活動を頑張ったり、原付の免許なんかもとって、自分の中で準備ができたら、就職なども考えられるんじゃないかなと思っています。
※この声は2018年9月時点のものです。現在は状況が変わっていることがあります。