ホームレス問題の現状

「ホームレス」の定義

日本で法的(2002年ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法より)に定められている「ホームレス」の定義は、「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」に限られています。
この定義は各国で異なり、たとえばイギリスでは「家があっても経済的な理由で維持できない人」や「友人の家に居候している人」、「28日以内に家を失う可能性のある人」など、不安定な居住の状態にある人、住宅喪失リスクのある人、も路上で寝起きする人と同様に「ホームレス支援」の対象としています。

ホームレス状態の人の数

 

厚生労働省の2023年度調査によると、全国の路上で生活する人の数は3,065人。同調査の16年前の人数18,564人と比べると、8割以上減少したことになります。しかし一方で、安定した住居がない状態でネットカフェ等を利用する人は、都内だけで一晩に4,000人いると推計されています(2018年 東京都調査)。いわゆる「ネットカフェ難民」をはじめとする、統計に現れない「見えないホームレス」の数を合わせると、甚大な数の人が、今も不安定な居所で夜を過ごしていると考えられます。

ホームレス状態になる理由

ホームレス状態になる経緯は、人それぞれです。
ある人は仕事を失って。ある人は借金や奨学金等、債務の問題で。自身の抱える病気や障害によって。あるいは家族との離別や介護離職が原因で。災害に被災して、という方もいらっしゃいます。
何がきっかけになるのかは違っていても、共通しているのは、問題が起こったその時に、頼ったり、相談できたりする人や場所、または機会がなかった、ということです。
人は仕事と住まいを失うだけでは「ホームレス」になりません。人とのつながりや希望を失って孤立した時、hopelessになりhomelessになると、私たちは考えています。

ホームレス状態からの脱出の難しさ、必要な支援

一度ホームレス状態に陥ってしまうと、生活再建のハードルは段違いに上がります。一つは、食べるための収入を得る「仕事」の確保の問題。履歴書、身分証、連絡先、住所がなく、その日にお金が受け取れる仕事の選択肢は、多くありません。
もう一つは生活の基盤となる「住まい」の確保の問題。たとえ収入があっても、まとまった初期費用の用意や保証人の確保が難しいこと、携帯電話や身分証がない事から、市場賃貸物件へのアクセスは非常に困難になります。

生活再建の道筋はその人の状況や課題に応じて違いますが、解決に踏み出すどんな一歩も、チャレンジであることに変わりはありません。その最初の一歩を踏み出すための足がかりは、「誰もが居場所と出番のある、包摂的な社会」の中でこそ生まれてくるのではないか、と私たちは考えています。

ホームレスの人たちの声

「ホームレスの人」とひとくくりにしがちですが、ホームレス状態になった理由やその人となりは人それぞれです。
ホームレスの人たちの声

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