(写真:横関一浩)
西 篤近さん(東京)
生きがいを見失い自暴自棄になり路上生活に。
ビッグイシュー基金を通じて出会ったダンス活動で“人とともに生きる”希望を取り戻す
『路上脱出ガイド』の情報を頼りに相談にこられた西篤近さん(39歳)。沖縄で路上生活になり紆余曲折の末たどり着いた東京で「前途に希望を見出せず、野垂れ死のうと思った」。そんな西さんに、これまでの経緯とこれからの展望を伺いました。
- Q 路上に出た経緯は?
- 家出同然で陸上自衛隊に入隊し、10年以上働いていたのですが、自分のなかでいろいろ思うところがあり、続けるべきか悩んでいました。その頃ある音楽バンドが作り出す世界に感銘を受け、彼らと一緒に何かおもしろいことをやりたくなり、ダンサーの道を選択しました。しかし、その過程でザラっとしたドロっとした何かゴチャゴチャした自分の感情に圧し潰され、挫折し、自暴自棄な生活を送るようになりました。そのなかで、のしかかってくる気持ち的なもの、金銭的なもの、人間関係的なもの等から逃げ出すために、すべてを捨てて路上に出ました。
- Q ビッグイシュー基金と関わるようになったきっかけと印象を教えてください
- 東京に来たばかりの頃にたまたまネットカフェでプリントアウトしていた『路上脱出ガイド』を頼りにビッグイシューの事務所を訪ねたら、カレーをごちそうしてくれて。ビッグイシューはスタッフやボランティアの人たち、そして雑誌を購入してくれる人たちすべてが本当に優しくて、とげとげしくなっていた自分の心もだいぶ穏やかになりました。
- Q 「新人Hソケリッサ!」の活動について
- ビッグイシューの事務所で初めて相談した時、経歴書の趣味の欄に「踊り」と書いたら、スタッフの方が「新人Hソケリッサ!」の活動を紹介してくれました。翌日、稽古を見に行くと「これが自分の目指していた世界だ!」と感じて、すぐに参加を決めました。
- Q 今の生活はどうですか?
- 今は「ソケリッサ!」の活動をしている時と、さまざまな社会貢献活動をしている人たちとかかわっている時が、生きていることを実感できる一番充実した時間です。まだまだいろいろな面で路上を脱出する目途は立っていませんが、今しかできない、感じられないことがあると思っています。
- Q 今後の目標は何かありますか?
- 「ソケリッサ!」の活動やビッグイシューの販売・イベントを通じて、自分が人の為に何かできる日がいつかは来るんじゃないかという希望も見えてきました。自分に何ができるのかがわかったら、昔の仲間と一緒に大好きだった沖縄の街でもう一度がんばりたいです。
※この声は2018年9月時点のものです。現在は状況が変わっていることがあります。