ビッグイシューのあゆみ

日本でのビッグイシューの活動は、2002年から始まった有限会社ビッグイシュー日本設立準備が起点となります。
同社が雑誌『ビッグイシュー日本版』の発行を通じて、ホームレスの人や生活に困窮する人が販売者として働き、収入を得る仕組みを構築。
その後、収入の機会だけでなく、生活や住まいに関する支援の必要性が明らかになり、2007年に有限会社を母体としてNPO法人ビッグイシュー基金が設立されます。
仕事づくり(有限会社)と、就業・生活支援や政策提案(NPO法人)の両輪による活動が進められてきました。

社会状況の変化を受け、両組織は統合を決定し、2026年4月からは一つのNPO法人ビッグイシュー日本として活動を開始しました。

仕事づくりから、包括的な支援へ

仕事づくりの実装(2002–2006)

英国発のストリートペーパー『ビッグイシュー』の理念をもとに、日本での発行に向けた準備を開始。
2003年に「ビッグイシュー日本」を有限会社として設立、9月に雑誌『ビッグイシュー日本版』を創刊。
ホームレス状態にある人が販売者として雑誌を販売し、収入を得る仕組みを大阪で開始した。市民や支援団体と連携しながら、販売拠点と発行体制を各地に広げていった。

活動領域の拡張とNPO設立(2007–2012)

雑誌を発行して、路上での販売の仕事を作るというストリートペーパー事業を基盤に、文化・表現活動や調査、当事者の声を社会に届ける取り組みにも取り組んでいく。
2007年、有限会社ビッグイシュー日本を母体としてNPO法人ビッグイシュー基金を設立し、雑誌販売以外の生活・暮らし・つながりづくり等の活動を始める。
2008年の世界同時不況(リーマンショック)後の若者ホームレスの増加や東日本大震災などの社会状況の変化を受け、活動の内容と方法を拡張。「若者をホームレスにしない」ことを目標に、若者ホームレスに関する調査報告、若者や障がい者支援といった他団体との協力体制づくり、政策提案の公表などに取り組む。
2012年には、ビッグイシュー基金が認定NPO法人となり、寄付を通じた活動基盤が強化された。

住宅問題への注力と政策提案(2013–2015)

仕事づくりに加え、住まいを失うリスクそのものへの対応を重要な課題として位置づける。
路上生活からの脱却を支える情報提供として『路上脱出ガイド』を各地で発行・改訂。
調査やヒアリングをもとに、住宅政策や若者支援に関する提案書を公表。
あわせて、緊急シェルターやステップハウスなど、雑誌販売の仕事をしながらの住居移行を支える実践も始まった。

「見えないホームレス」問題と連携の深化(2016–2018)

ビッグイシュー基金設立から10年経過。路上生活者数の減少とともに顕在化した「見えないホームレス」への課題意識を明確にした。『路上脱出ガイド』を『路上脱出・生活SOSガイド』へと発展させ、医療、法律、依存症など多様な相談に対応する情報へと拡張。ホームレスを「予防」することを念頭に作成。市民、研究者、行政との接点を持ちながら、より多くの支援に接続できる仕組みへと定着させていった。

加えて、ホームレス状態との関係が深い依存症、中でも特に語られてこなかったギャンブル依存(障害)についての調査・提案書を公表。

複合的な困難への対応(2019–現在)

基金では2019年の共同代表制移行後、新型コロナウイルス感染症の拡大の中、安心して体を休められる個室の居所の確保を応援する「おうちプロジェクト」や食料配布、宿泊機会の提供など他団体と連携した緊急支援を展開した。
その後も、物価高騰や気候変動の影響により、生活困窮の課題は複合化・長期化している。

一方、有限会社ビッグイシュー日本は、2003年の創刊以降22年間半にわたり、雑誌523号、約1,040万冊を発行・販売し、働く販売者に17億円余の収入を提供するなど、雑誌発行を通じた仕事づくりを継続してきた。コロナ禍を乗り越えた後、販売者数の減少や、高齢化などによるより多面的な支援の必要性、ホームレス状態ではないが雑誌販売の仕事を必要とする人からの相談が増加。

こうした状況の変化に柔軟に応じた取り組みを継続・拡張していくため、両組織は統合を決定し、市民メディア事業と仕事づくり・生活応援・政策提案・市民参加を一体的に進める体制へ移行した。

年表

仕事づくりの実装(2002–2006)

2002年

  • 【有限会社】英国発のストリートペーパー『ビッグイシュー』の理念に出会い、日本版発行に向けた構想が始まる。創設者らと接触し、日本での展開を約束。

2003年

  • 【有限会社】有限会社ビッグイシュー日本 設立。
  • 【有限会社】9月、『ビッグイシュー日本版』創刊。ホームレス状態にある人が販売者として参加する仕組みを大阪で開始(販売者19名)。「ビッグイシュー京都サポーター」とともに11月に京都での販売を開始。

 

2004年

  • 【有限会社】1月に東京事務所を開設し、東京での販売を開始。10月、「木曜パトロール市民の会」とともに横浜での販売スタート。
  • 【有限会社】発行頻度を月1回から月2回に拡大。
  • 【有限会社】国際ストリートペーパーネットワーク:INSPに参加。
  • 【有限会社】ホームレスワールドカップイエーティボリ(スウェーデン)大会に日本代表チーム初出場。

2005年

  • 【有限会社】市民・支援団体と連携し、各地で販売拠点を拡大(立川、青森、仙台、川崎など)。

2006年

  • 【有限会社】「ビッグイシュー名古屋ネット」とともに、名古屋での販売スタート。
  • 【有限会社】『ビッグイシュー日本版』50号発行。

活動領域の拡張とNPO設立(2007–2012)

2007年

  • 【有限会社】コンテンポラリーダンス・プロジェクト「新人H ソケリッサ!」活動開始。
  • 【有限会社】9月、「ビッグイシューさっぽろ」とともに札幌での販売スタート。12月、「びよんどネット」とともに三鷹での販売スタート。
  • 【基金】有限会社ビッグイシュー日本を母体として、NPO法人ビッグイシュー基金 設立。

2008年

  • 【有限会社】2月、「ビッグイシューくまもとチーム」とともに熊本での販売スタート。10月、「ビッグイシューかごしまサポーターズ」とともに鹿児島での販売スタート。
  • 【有限会社】8月、『ビッグイシュー日本版』100号発行。
  • 【有限会社】全国ネットワーク会議を開催。
  • 【基金】内閣府よりNPO法人として認証を受ける。

2009年

  • 【有限会社】販売者による写真展の開催など、表現活動を展開。
  • 【有限会社】12月、「カトリック金沢教会・平和の会(2017年より真宗大谷派 聞善寺)」とともに金沢での販売スタート。
  • 【基金】若者ホームレスの増加を課題として明確化し、支援方策の検討・白書作成に着手。
  • 【基金】ホームレスワールドカップミラノ大会に5年ぶりの日本代表派遣。
  • 【基金】市民・ボランティアの社会参加を基本プログラムとして位置づけ。

2010年

  • 【有限会社】「路上文学賞」創設。
  • 【有限会社】「ビッグイシュー千葉サポーターズ」とともに千葉での販売スタート。
  • 【基金】若者ホームレス支援ネットワークづくりを重点事業として実施。『若者ホームレス白書』発行。

2011年

  • 【有限会社】駅構内での特設販売ブース設置、国際フォーラム開催などを実施。
  • 【基金】東日本大震災の発生を受け、被災地団体への寄付やスタッフ派遣など、被災地支援を実施・継続。
  • 【基金】ホームレスワールドカップパリ大会に日本代表チームを派遣。

2012年

  • 【有限会社】「ビッグイシュー・オンライン」開設。
  • 【基金】国税庁より認定NPO法人に認定。
  • 【基金】若者ホームレス支援ネットワーク会議の開催、「若者ホームレス白書2」を発行。

住宅問題への注力と政策提案(2013–2015)

2013年

  • 【有限会社】5月、「NPO法人岡山きずな」とともに岡山での販売スタート。
  • 【有限会社】9月、創刊10周年を迎え、記念イベントを開催。
  • 【基金】住宅問題と若者のホームレス化に焦点を当てた調査・政策提案を本格化。『住宅政策提案書』8,000部発行。
  • 【基金】『路上脱出ガイド』を各地で発行・改訂。

2014年

  • 【有限会社】雑誌価格改定。
  • 【基金】ネットワークづくりの基礎として、各支援団体の応援プログラムをまとめた『社会的不利・困難を抱える若者応援プログラム集』を発行。
  • 【基金】「空き家」と「住宅困窮者」のマッチングを行う「ステップハウス」事業を開始。
  • 【基金】『若者の住宅問題』住宅政策提案書(調査編)を発行。

2015年

  • 【有限会社】定期購読制度を開始。
  • 【有限会社】仙台ビッグイシューソサイエティ・販売開始10周年記念イベント開催。
  • 【基金】『若者政策提案書』を発行。
  • 【基金】様々な社会的不利・困難を抱える人々がフットサルを通じて交流するダイバーシティカップ、第1回開催。(photo:横関一浩)
    『ダイバーシティカップ報告書−ボールがつなぐ社会と人間の多様性−』発行。
  • 【基金】ギャンブル依存症に関する調査・報告を実施。『疑似カジノ化している日本:ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?』の発行。

「見えないホームレス」問題と支援の仕組み化と連携の深化(2016–2018)

2016年

  • 【有限会社】販売者がいない地域でのショップ販売(委託販売)を開始。
  • 【有限会社】ビッグイシュー名古屋ネット 10周年記念イベント開催。
  • 【基金】『ギャンブル依存症からの生還―回復者12人の記録』の発行。設立10周年を迎え、政策提言の成果が国会審議資料等で参照される。

2017年

  • 【有限会社】札幌で活動10周年記念行事を開催。
  • 【基金】大阪府より認定NPO法人に認定を受ける。
  • 【基金】『路上脱出・生活SOSガイド 大阪編』発行。
  • 【基金】基金のクラブ活動からスタートしたサッカー活動が独立、多様な背景を持つ人がスポーツを通じて自分らしく生きられる社会を目指す「ダイバーシティサッカー協会」が設立される。

2018年

  • 【有限会社】創刊15周年イベントを開催。
  • 【基金】「見えないホームレス」への課題意識を明確化し、東京23区編ガイドを改訂・1万部配布。
  • 【基金】「大阪市におけるホームレスの人々のギャンブル障害に関する疫学研究」の実施。

複合的な困難への対応(2019–現在)

2019年

  • 【有限会社】第1回INSPアジア・パシフィック・ネットワーク会議を大阪で開催。
  • 【基金】共同代表制へ移行。
  • 【基金】ギャンブル障害や住宅困窮に関する調査・報告を継続。『ホームレス状態とギャンブル障害―121人のヒアリングから』の発行。

2020年

  • 【有限会社】コロナ禍に対応するため、販売者応援のための通信販売・定期購読制度を全国展開。
  • 【有限会社】フードロス問題と当事者の仕事づくりに取り組む「夜のパン屋さん」開始。
  • 【基金】米国コカ・コーラ財団から50万ドルの助成を受け、「おうちをあなたに―コロナ困窮者の住宅確保応援プロジェクト」を開始。207世帯(237人)の住宅確保を支援。
  • ダイバーシティサッカー協会がNPO法人となる。

2021年

  • 【基金】ワクチン接種支援、医療アクセス支援、緊急宿泊支援を継続。
  • 【基金】『路上脱出・生活SOSガイド』の増刷・各地版展開を支援。

2022年

  • 【有限会社】販売者応援の通信販売制度を強化開始。
  • 【有限会社】熊本でのビッグイシュー販売再開10周年記念イベント開催。
  • 【有限会社】ビッグイシューさっぽろ15周年イベント開催。「夜のパン屋さん★札幌」(月1回)スタート。
  • 【基金】物価高騰・気候変動下での相談増加に対応し、家賃補助等による予防支援(おうちプロジェクト2)を実施。

2023年

  • 【有限会社】『ビッグイシュー日本版』創刊20周年。創刊20周年記念号の発行および記念イベントを実施。
  • 【基金】『路上脱出・生活SOSガイド』東京23区編を改訂。Web版に無料通話相談機能を実装。

2024年

  • 【有限会社】累計販売冊数1,000万冊を超える。
  • 【基金】「夜のパン屋さん」事業継承、提供パン屋数、販売店舗数ともに拡大。
  • 【基金】相談内容の複雑化・長期化を受け、生活・住宅支援を継続。
  • 【基金】市民参加型の寄付・会員制度を継続。2024年度時点で市民応援会員と寄付参加者のべ5,689人、合計6,600万円の寄付が寄せられた。

2025年

  • 【有限会社】新たな仕事づくりの試みとして、商店街の空き店舗の提供を受けてシェア本屋「希望をつむぐ本屋さん」開店。500号発行。
  • 【有限会社/基金】有限会社ビッグイシュー日本と認定NPO法人ビッグイシュー基金が統合し、2026年4月に一つのNPO法人として活動することを決定。

※このほかの過去の活動・詳細は「お知らせ」一覧をご覧ください

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