2020年8月7日 - 活動の近況
いま再び感染拡大が懸念される中で、困窮した人たちの自活と生活再建の基盤になり、安心して過ごせる「おうち」の確保が急務になっています。これまで、ビッグイシュー基金ではホームレス状態の人が利用できる「個室の居所の確保」に奔走してきました。具体的には、東京都への借り上げホテル確保の申し入れや、大阪での緊急宿泊提供のための市民連携プロジェクトの立ち上げや参加、自前のシェルターの増室、などです。
この一時的滞在住宅の確保を発展させ、このたび「おうちをあなたに―コロナ困窮者の住宅確保応援プロジェクト」(略称:おうちプロジェクト)をはじめます。この事業へ、米国The Coca-Cola Foundation(コカ・コーラ財団)より、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い仕事や住まいを失った人々を支援するための資金として、50万ドル(5357万3500円)の助成を受けました。
「おうちプロジェクト」とは?
このプロジェクトで、ビッグイシュー基金は、東京・大阪などでホームレスの人や生活困窮者を支援する市民団体(一般社団法人つくろい東京ファンド、NPO法人釜ヶ崎支援機構、NPO法人Homedoorなど約18団体を予定)と連携しながら事業を進め、事務局の役目を担います。
事業は、新型コロナウイルスの影響により住まいや仕事を失った人、定まった住まいを持たない人(当事者200世帯を想定)に、①賃貸住宅の初期費用(最大30万円)、②生活物資・家具などの費用(最大10万円)、③またはその両方(総額30万円)を支払い(※)、住まいを持ってもらうことを応援します。これら当事者への直接支援が、助成総額50万ドルのうちの75%程度を占めます。期間は、2020年8月~2021年8月の一年間の時限事業です。
また、賃貸契約時に必要な本人の身分証、携帯電話、緊急連絡先などを含め、当事者の収入や生活状況に応じて必要な各種サポートを、協働団体と提供します。助成金には助成期間中に雇用するスタッフの人件費や、必要な事務諸経費も含まれます。
コロナ後の生活の基盤をつくる
基金では「おうちプロジェクト」の実践を通じて、協働団体や不動産事業者、ホームレス状態の人・生活に困窮した当事者とともに、誰も経験したことのないこのコロナ禍を乗り切る方策を、考えたいと思っています。そして、コロナ終息後の安定した暮らしの基盤をつくるための実践的な提案にもつなげたいと考えています。
こうした新たな事業にもチャレンジできるのは、多くの皆さんの応援・参加を得て取り組んできた、活動の蓄積があるからです。今後とも、ひき続き基金の事業、活動への忌憚ないご意見とご参加を、お願いします。
※第2期(2021年1月)からは以下のように変更しています。①賃貸住宅の初期費用(最大20万円)、②生活物資・家具などの費用(最大5万円)、③またはその両方(総額20万円)但し、①および③で、複数人の世帯が入居する場合や、単身世帯で対象地域(東京都内、横浜市、川崎市、川口市など)の住居に入居する場合の上限金額は25万円。
この事業を報告した『おうちプロジェクト報告書――コロナ困窮者の住宅確保応援から見えたこと』は以下よりご覧いただけます。
■おうちプロジェクト報告書が完成しました
※本プロジェクトは、米国コカ・コーラ財団からの助成を受けて、実施しています。