『ホームレス状態とギャンブル障害-121人のヒアリングから』発行のお知らせ

2019年12月26日 - 活動の近況

ビッグイシュー基金では「ギャンブル障害」の問題が、ホームレス化の原因の一つであり、同時に生活再建の壁になっている、と考えてきました。そして国内のギャンブル障害の実態を明らかにするため、2015年から内外に研究会を設け、問題の構造を俯瞰するレポートの作成や、依存症回復者へのヒアリング調査などを行い、3冊の報告書を発行しました(※注1.)
これに続き、2018年12月30日から19年1月4日にかけて、大阪市西成区のシェルター等を利用するホームレス状態の当事者121人にインタビュー調査を実施し、その結果の概要を報告書にまとめました。調査では、参加者の9割を超える人(94.2%)が、これまでにギャンブルをした経験があると回答し、その種目一位はパチンコ(87.7%)でした。
そのうち4割をこえる(42.1%)人が、これまでの生涯でギャンブル障害の期間がありました。これは日本の一般男性の有病割合(6.7% ※注2)の6.3倍にあたります。そのうち9割の人が「ギャンブルのために困ったり、大事な人やものを失った経験」(90.2%)や「ギャンブルのために借金などをした経験」(92.2%)をしていました。そして彼らが「最もお金を費やしたギャンブル」の種目一位はパチンコ(41.1%)でした。さらに、身近にギャンブル問題を抱えていた人が存在していた(64.7%)、自分の問題を誰にも相談したことがない(68.6%)とも回答しています。
これはホームレス状態とギャンブル障害の深い関係を示唆しています。すでに発表した報告書『新版 疑似カジノ化している日本―ギャンブル障害を乗りこえる社会へ』で示した、①ギャンブル障害の予防・早期発見・治療・ケア・救済のための体制の確立 ②消費者保護の観点からのパチンコを含むギャンブルの現状の見直し、という政策課題への取り組みは、日本での「ホームレス化の予防」に寄与するものであることを、強く示唆しています。ぜひ手に取ってお読みいただき、議論や研究の素材として活用いただければ幸いです。
※注1.基金のこれまでの活動は「ギャンブル依存症問題」ページをご覧ください。
※注2.樋口進・松下幸生(2017).「国内のギャンブル等依存に関する疫学調査(全国調査の中間とりまとめ)」より

報告書は、何冊でも、送料のみでお送りします。冊子請求フォームまたはFAX:06-6457-1358で、①ご希望冊数 ②お名前 ③ご住所 ④ご連絡先をお知らせください。

本報告書に関するお問い合わせ、取材のお申込みなどはビッグイシュー基金メールinfo@bigissue.or.jp、または電話:06-6345-1517までお問い合わせください。(担当:高野)

 


ホームレス状態とギャンブル障害―121人のヒアリングから(A4版12p.)目次内容
はじめに―念願だった当事者の聞き取り調査
・入口、かつ出口への壁―ホームレス化とギャンブル障害
・13年の道のり―ギャンブル障害と当事者への調査
1. 平均年齢は58.8歳―121人の調査参加者
・半数は60歳代以上―年齢と収入、学歴と婚姻歴
・4人に1人が10年以上―ホームレス歴と生活保護の利用
2.パチンコ、競馬、パチスロ―ホームレスの人のギャンブル経験
・パチンコは9割―ギャンブル経験の内容
・半数が年収300万円未満―実施頻度、使った費用、当時の年収
・4人に1人がサラ金、闇金を利用―大事な人やものを失う、借金の経験など
・一般の人の6.3倍―ギャンブル障害該当者の割合
3.9割が大事なものや人を失う―ギャンブル障害該当者のいま
・50歳代に多い―年齢、婚姻、ホームレス経験、受刑歴
・初体験はパチンコ―開始年齢と経験種目、使った費用など
・月平均20万円余を使う―実施頻度、使ったお金、年収
・9割が金融機関使う―困ったり、大事なものや人を失ったりした経験、借金、しなくなった理由
・深刻じゃない、自分の責任―相談しない理由、人間関係、反対された経験
4.その他の依存症―アルコールとニコチン
・ギャンブル場へは1時間以内―所要時間、交通費、入場条件
・喫煙者は2.5倍―ギャンブルとアルコール、ニコチンの依存症
おわりに


発行:ビッグイシュー基金 ギャンブル障害研究グループ
事務局:NPO法人ビッグイシュー基金

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