2014年12月12日 - 活動の近況
ビッグイシュー基金では、住宅政策の再構築が日本の貧困問題解決の切り札ではないかと考え、2013年より研究者、実践家に呼びかけ「住宅政策提案・検討委員会」を開き、同年10月「住宅政策提案書」をまとめました。
(『住宅政策提案書』に関しては、過去の記事をご覧ください。「住宅政策提案書」PDFはこちらよりダウンロードいただけます。)
これに続いて2014年8月、提案を裏付け、さらに深めるために調査事業を実施しました。
首都圏(東京都・埼玉・千葉・神奈川) /関西圏(京都・大阪府・兵庫・奈良)に住む <1>若年(20~39歳)<2>未婚
<3>低所得(年収200万円以下)の男女を対象に、インターネット調査を実施し、1767人をサンプルに調査報告書をまとめました。
低賃金で過酷な住居費負担にあえぎながら、6.6%もの人が広義のホームレス状態を経験している一方で、回答者の4人に3人が親と同居。3人に1人が「大卒」、「いじめ経験者」、3割弱が「うつ病経験者」など、無業・ひきこもりなどの社会的不利・困難を抱えた若年層の居住・生活の実情も明らかにされました。
複雑・深刻化する貧困下の若者の問題を、「住宅」の側面から照らした日本で初めての量的な調査です。以下はその目次です。
『若者の住宅問題』―住宅政策提案書 調査編― (A4版 40p.)
目次
第1部 若年・未婚・低所得層の住宅事情――調査結果の分析
平山洋介(神戸大学大学院教授)
1. 人生の足がかりをつくる――若者の住宅問題
1-1 人生の道筋と住宅
1-2 「年収200万円未満」について
2.“結婚する、できるは1割未満”――親との同居/別居と結婚意向
3. 増加した“移動しない人生”――出身地と学歴
4. 多い極貧レベルの人たち――経済生活基盤の実態
4-1 無職と不安定就労
4-2 少ない収入・資産
4-3 社会保険加入の不安定さ
5.いじめ、ひきこもり、就職挫折、人間関係トラブル、うつ病……
――苦難の経験と相談相手
6.親持家が6割、自己借家は2割――住宅所有形態について
6-1 誰の所有・賃貸なのか
6-2 住宅所有形態の特性
7.住居費や家事で親に頼る――親の家と世帯内単身者
7-1 親に頼れる/頼れない
7-2 続かない安定
8.負担の過酷さ天地の開き――住居費負担の特性
8-1 負担する/しない
8-2 異様に重い負担
9.親持家は”とどまるべき”場所に――住宅困窮と定住・転居指向
9-1 だれがどのように困っているのか
9-2 親の家の内/外―住宅所有形態について
10.“健康”、そして“住まい”と“仕事”が大切
――暮らし向きの変化、幸福の条件
11.“次の段階”へ、もっと選択肢を――住宅政策から社会持続へ
第2部 若者に多様な住まいを――調査結果から
・家を借りることがリスクの時代――檻のない「牢獄」と化した実家
藤田 孝典(NPO法人ほっとぷらす代表理事)
・若者の自立・家族形成の保障は住宅政策から
川田 菜穂子(大分大学 教育福祉科学部准教授)
・ホームレス化しない「絆原理主義の国」の若者たち
稲葉 剛(NPO法人 自立生活サポートセンターもやい理事)
ご希望の方には無料で必要数をお送りいたします。(ゆうメール着払い分の送料のみ、ご負担をお願い致します)ご希望、お問い合わせは基金代表メール info@bigissue.or.jpか、FAX(06-6457-1358)までご連絡ください。(担当:高野)
PDF版をアップロードを開始しました。ダウンロードは下記よりお願いいたします。
→『若者の住宅問題』-住宅政策提案書[調査編]-PDF
(2014年12月12日発行)
※調査票のHP掲載は現在準備中です。もうしばらくお待ちください。